ソーシャルファームの誕生

 ソーシャルファームは、1970 年代にイタリアのトリエステで生まれました。トリエステに 1,200 名が入院する精神病院がありました。精神科医で院長のバザーリア医師が、精神障害者の人権侵害に心を痛め、退院促進し、外来診療にシフトしました。その後脱施設化が進み、イタリアは世界初の精神科病院廃絶法施行に進みます(通称バザーリア法)。精神科病院の新設、すでにある精神科病院への新規入院、1980 年末以降の再入院を禁止し、予防・医療・福祉は原則として地域精神保健サービス機関で行うことになりました。入院しないのであれば、精神障害者が働く場を作らなくては、と、市民とともに働くフランコバザーリア労働共同組合を作りました。その後社会的共同組合は法制化もされ、国民の認知も得ていきます。共同組合の思想の原型は中世からあり、イタリア国民には馴染みのある就労形態だっ
たのでしょう。
 その後イタリアでは、精神障害者だけではなく社会的に不利な立場の人すべてを対象としていく形に発展し、その流れは世界中に広まりつつあります。日本では、厚生労働省を経て環境省事務次官などを歴任された、炭谷茂氏(恩賜財団済生会理事長)がソーシャルファームジャパンを立ち上げ、調査研究、啓もう啓発の先頭に立っており、東京都の条例制定の際にも、尽力されました。

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